2007年7月18日水曜日

反省しなければならない「ゆとり教育」!

ゆとり教育とは、

学習者が詰め込みによる焦燥感を感じない様、自身の多様な能力を伸張させる事を目指す教育理念の事である。

以下では特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。

1). 概念 1-1). 知識重視型教育 ゆとり教育以前の知識重視型教育は、元々第二次世界大戦降伏後(1945年以降)の経験主義的な教育に対する「学力が低下している」という批判による教育方針転換の結果でもある。

又、学習指導要領が法的な性質をもつようになったのも1958年(昭和33年)以降であり、それまでは学習指導要領の名称も試案とされており、法的な性質はなかった。

2). 経緯 1977年(昭和52年) 学習指導要領の全部改正 (1980年度〔昭和55年度〕から実施) 学習内容、授業時数の削減。

1989年(平成元年) 学習指導要領の全部改正 (1992年度〔平成4年度〕から実施) 学習内容、授業時数の削減。 小学校の第1学年・第2学年の理科、社会を廃止して、教科生活を新設。

1992年(平成4年)9月から第2土曜日が休業日に変更。

1995年(平成7年)4月からはこれに加えて第4土曜日も休業日となった。

1999年(平成11年) 学習指導要領の全部改正 (2002年度〔平成14年度〕から実施) 学習内容、授業時数の削減。 完全学校週5日制の実施。

「総合的な学習の時間」の新設。

2004年 国際的な学力比較調査(PISA2003, TIMSS2003)の結果が発表され、日本の点数低下が問題となる。

2005年 中山成彬文部科学大臣、学習指導要領の見直しを中央教育審議会に要請。

次年度より指導要領外の学習内容が「発展的内容」として教科書に戻る。

3). 結果 ゆとり教育(ここでは平成10年度から11年度にかけて告示された指導要領を指す)は、学力低下を引き起こすと心配されていた。

成果については(文部科学省内においてすら)定まってはいない[1][2]。

学力低下に関わる議論においてはゆとり教育は批判されている

3-1). 試験結果 学力の上昇を示すもの、低下を示すもの、共にあるのが現状である。

例えば、ゆとり教育見直しの機運が高まるきっかけとなった国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2003 2003年にIEA(国際教育到達度評価学会)が実施)[1]では、中学2年生の数学は前回のTIMSS1999年よりも9点、前々回のTIMSS1995よりも11点、いずれも有意に低くなっており(順位は5位の儘)、数学が楽しいと思う者の割合も減少している。

一方で、平成15年度 小・中学校教育課程実施状況調査(2003年に国立教育政策研究所が実施)では、多くの学年、教科で前回調査と同一の問題については、正答率が有意に上昇した設問が、正答率が有意に下降した問題よりも多かった。

特に、小学生と中学3年生の学力向上が顕著で、理科では前回より正答率が上昇し、アンケートで「勉強が好き」「どちらかというと好きだ」と答えた子の割合は増加傾向にある。

その他結果の詳細は、学力低下#試験・調査結果を参照されたい。

4). 方針転換 2005年に中山文部科学大臣が中央教育審議会に、学習指導要領の見直しを指示した。

又、教育再生会議(内閣府設置会議)が出した報告書(第1次:2007年1月24日 第2次:2007年6月1日)において、「授業時間の10%増(必要に応じて土曜日授業の復活)」等が盛り込まれている。

5). 様々な議論 5-1). 学力低下の原因? 今日の世論では、ゆとり教育の実施による学習内容の削減が基礎学力の低下を招いているという批判・否定的な意見が非常に多い。

(一部の塾・学校等では、ゆとり教育が開始される以前からこの様な世論になる事を予想していた) その一方で、基礎学力の低下の原因がゆとり教育と決め付けてしまうのは難しく他にも原因があるのではないか、等の意見もある。

詳細は学力低下を参照。 又、基礎学力の低下により中学高校での学習に支障が出ているとの指摘もある。

しかし、こうした現象の背景には生徒数の減少による受験圧力の低下があるという説(小川、2000年)や学級崩壊との関連もあり、一概に学習指導要領の内容のみに責を帰すべきものかどうか、結論は出ていない。

5-2). 格差を固定する? ゆとり教育が学力低下を引き起こすという危惧から、親は児童・生徒を学習塾に通わせる様になっている[3]。

之によって、学力格差が発生しているという意見がある。 詳細は学力格差を参照。

但し、教育エートスの差異は1960年代の高度成長期に由来するとの説もある。 即ち、高度成長期に「金の卵」として都市部に出てきた人々の子供・孫の家庭では積極的に教科学力を獲得させようとする意欲に乏しい事が多く、こうした層の子弟が大学全入時代における受験圧力の消失によって完全に学校教育への意欲を失い、学習放棄をしているとの説である[4]。

6). 指導要領の解釈のブレの問題 従来、学習指導要領に示される学習内容は、「到達目標」(教育目的における十分条件)とされてきた。

しかし、実際には「これ以上教えてはいけない」という硬直的な解釈もまかり通り、学習内容の削減と共に学習進度の早い児童・生徒(浮きこぼれ等)に対する対処が問題となった。

2002年(平成14年)に文部科学省は、学習指導要領の内容を最低基準と位置づけ、発展的な学習内容を教科書に掲載したり、各学校で発展的な学習の指導を行っても良いという方針に改めた。

(尚、この方針は、“発展的な学習の指導を行わなければならない”という訳ではなく、“学習指導要領に定めた最低基準を満たし更に余裕のある児童・生徒に対し、その実態に合わせてさらに発展的な学習の指導を行っても良い”という物である) この事と整合性をとる為、2005年の教科書検定では小中学校の教科書にも発展的な内容の記述が容認された。 7). 総合的な学習の問題 ゆとり教育によって導入された「総合的な学習の時間」は、教員や児童・生徒の力量・意欲が高い場合は成功しやすく、そういった要素に左右されるという欠点を持つとされる。

実際、総合的な学習の時間を有意義に使う学校もある一方で、単に不足している授業時間の補完等学力向上に使う等という所も少なくなかったとされる。

ただ、基礎学力が低い生徒は、「総合的な学習の時間」の目的とされる「主体的に考える力」等も低くなる傾向がある[5]。

8). デンマーク ゆとり教育をすすめていたデンマークでも、国際学習到達度調査(PISA)の結果が下がり、学力低下が議論になった。 教育改革として、義務教育の1年早期化などが議論されている[6]。

学校の現場では、学力向上を目指した教育改革に反発がある物の、生徒の親は学力低下への不安が強い[6]。

9). 脚注 [ヘルプ]^ 2005年4月23日付配信『「好成績」戸惑う文科省 なぜ、上向いたのか』(毎日新聞)

1^ 2007年4月14日付配信『ゆとり教育:学力向上にプラスかマイナスか 揺れる評価』(毎日新聞)

2^ 2005年12月15日付 『小学生の塾費用16%増加 学力低下の不安から』朝日新聞

3^ 小川、2000年

4^ 『「学力低下」の実態』:ISBN 978-4000092784 2002年 苅谷剛彦・清水睦美・志水宏吉・諸田裕子

5^ a b 『デンマークで“ゆとり教育”見直し』2006年7月4日付配信 読売新聞

10). 関連項目:教育社会学 - 教育問題 新学力観 - 学力 - 生きる力 学習指導要領 - 中央教育審議会 - 文部科学省 総合的な学習の時間,学校週5日制,学校 - 学習塾、学力低下 落ちこぼれ - 浮きこぼれ、円周率は

3、学力格差、教育格差 少子化、ゆとり世代 寺脇研(元文部官僚で「ゆとり教育」推進者としてマスコミの前面に幾度となく出ては同省の見解のスポークスマン的な役割を担っていた。

) 日本教職員組合(自社さ政権以降、文部省中央教育審議会に委員を送り出すようにもなった。) PISA(学習到達度調査)

11). 参考文献 山内乾史・原清治編著 『リーディングス 日本の教育と社会1 学力問題・ゆとり教育』 日本図書センター、2006年。ISBN 4284301160 伊藤敏雄 『誰も教えてくれない教育のホントがよくわかる本 ゆとり教育になって学校はどうなった?』 文芸社、 2006年。

ISBN 4286009548 藤田英典 『義務教育を問いなおす』 筑摩書房、2005年。

ISBN 4-480-06243-2 陰山英男 『学力の新しいルール』 文藝春秋、2005年。

ISBN 9784163674803 苅谷剛彦 『教育改革の幻想』 筑摩書房、2002年。

ISBN 4480059296 苅谷剛彦 『なぜ教育論争は不毛なのか』 中央公論新社、2003年。

和田秀樹 『「ゆとり教育」から我が子を救う方法』 東京書籍、2002年。 藤原和博 『公教育の未来』 ベネッセコーポレーション、 2002年。

ISBN 4-8288-3712-4 寺脇研 『21世紀の学校はこうなる―“ゆとり教育”の本質はこれだ』 新潮社、2001年。

ISBN 4-10-290067-5 西村和雄 『ゆとりを奪った「ゆとり教育」』 日本経済新聞社、2001年。

ISBN 4-532-14916-9 斎藤貴男 『機会不平等』 文藝春秋、2000年。

ISBN 4-16-356790-9 小川洋 『なぜ公立高校はダメになったのか―教育崩壊の真実』 亜紀書房、2000年。ISBN 4-7505-9903-4 12). 外部リンク:新学習指導要領 - 文部科学省 平成15年度 小・中学校教育課程実施状況調査 -国立教育政策研究所 あなたはどの指導要領?

「ゆとり見直し」先行 第4期中教審 朝日新聞2007/2/5 学習指導要領の変遷図 - 教心ネット 3+2×4=20?どうなるゆとり世代の学力 All About ゆとり教育で学力が向上した ~逆風を追い風に変えた京都の教育改革 ドーなってるの?

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